[本]『社会脳』(岡田尊司)(7)
2009年01月12日 (月) | 編集 |
 前に『社会脳』(岡田尊司)の概略を紹介しましたが、今回はその中から<セロトニン系>についてまとめます。

・メイドスンの実験
・ヒエラルヒー型社会
・げっ歯類型社会
・マカークザルの群れ

・メイドスンの実験:
 メイドスンは、競争的な場面での人の態度や心理状態が、血液中のセロトニン濃度と関係があることを確認した。
 濃度が高い人は自信に満ち、負けん気が強く、押しが強い。一方、濃度が低い人は自信がなく、弱気で、不安が強く、人に支配されやすい

・セロトニンと性格:
 社会的行動に優れたサルは、前頭前野腹内側部のセロトニン・レセプターが多く、セロトニン濃度が高い。
 セロトニン系の活動性が低いと衝動的で攻撃的な行動や社会的孤立、薬物やアルコールの依存を起こしやすくなり、自殺や暴力による夭逝の危険が増す。このため、子孫を残す上で不利。

・ヒエラルヒー型社会:
 群生する魚や鳥は<平等型社会>であり、リーダーがいない。一方、一部の哺乳類は<ヒエラルヒー型社会>を形成し、リーダーが存在する。
 ヒエラルヒーというシステムは"無用の争いや殺戮を避け、力を合わせて生きる糧を獲得し、子どもを育て、もっとも長く安定的な繁栄を得る方法だった。"
 "進化的に見て、人間の社会脳はヒエラルヒー型社会集団を前提として発達してきたものであった。"

・げっ歯類型社会と霊長類型社会:
 げっ歯類などの動物の社会では、攻撃性の高い個体が生存・繁殖において圧倒的に有利で、社会的に高いポシションを占める。
 一方、霊長類の社会では、攻撃性が高すぎると周囲から反発を受け、長期的に不利益を被るため、社会的に高いポジションを得られるとは限らない。

・マカークザルの群れ:
 ハウエルらはマカークザルの群れを観察した。マカークザルの群れは母系社会で、オスは青年になると群れを出て、別の群れに受け入れられるまで旅をする。この移動の間と、新しい群れへの受け入れのときに命を失いやすい。移動のときには攻撃性が個体の生存のために必要だが、高すぎる攻撃性は新しい群れから反発を受けてしまう。
 元の群れにいるときにも、セロトニン系の活動性が低くて攻撃性が高いと、暴力による死亡率が高い。しかし母親が攻撃的で群れの中でランクが高いと、攻撃的な子どもでも生存でき、新しい群れでもランクが高くなる。母親のランクが低いと、子どもは群れから早く排除され、死亡しやすい。このように、攻撃的な性向は死亡する確率が高くなり、伴侶獲得にも苦労するが、いったん新しい群れに定着すると高いランクを得るのに役立つ。また、移動のときに若いオスでグループを形成して行動するが、このときに社会性が養われる。
 このように、攻撃性と社会性のバランスの上で種としての生存が保たれている。

テーマ:読んだ本。
ジャンル:本・雑誌
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