2008年11月15日 (土) | 編集 |
以前、『サイファ 覚醒せよ!』(宮台真司、速水由紀子)と『動物化するポストモダン』(東浩紀)を紹介しました。これらの本に出てくる<学校化>と<動物化>という言葉は互いに関係があるように思えます。そして、私は更に<若年性健忘症>もこれらと関係あるのではないかと考えています。今日はそういうことをこじつけて書いてみますw。
<学校化>とは、家や地域社会が学校的価値の物差しで一元化されることを意味する宮台用語です。何が問題かというと、学校的な物差しでしか評価されないために、一度その評価軸から離れてしまうと、それ以外に尊厳の回復が難しくなってしまういうことです。勉強しかできないエリートが、社会に出て挫折する理由を分析しているのです。また、宮台さんは<学校化>が進んだ原因として、明治維新後の近代天皇的価値観、戦後の高度経済成長的価値観が崩壊して以降に、日本国民が別の新しい大きな価値観を構築しえていないことを挙げています。つまり、よりすがるべき大木がないために、学校的価値観にすがっているのです。
一方<動物化>とは、本来<欲望>であるはずの渇望感を、<欲求>を満足させるかのように充足させることを意味します。東さんが広めた言葉です。日本では石油ショックや連合赤軍事件を経験した70年代に、近代国家では存在するとされていた<大きな物語(イデオロギーや科学万能神話)>が崩壊し、ポストモダン的時代が到来した。そうした時代背景と表裏一体なのが、個人の生き方です。近代国家では<大きな物語>と一体化することを人生の目的としていたのに、ポストモダンになった途端に目的を失い、いかに効率良く快楽を得られるかを追求するようになった。それが<動物化>の意味です。
このように宮台さんや東さんの博覧強記な文章を読んでいると、それはそれで納得させられます。しかしふと<なぜ新しい価値観を見つけられないのか?>とか<なぜ動物化するのか?>という疑問が浮かぶと、それに対する答えや言及は両人の本には書かれていないようです。二人とも、日本人の70年代以降の行動様式を分かりやすく説明しただけで、より本質的な理由は述べられていないような気がします。
そんなときに私は<若年性健忘症>という言葉を知りました。この<健忘症>が、<新しい価値観を構築できない理由>や<人々が動物化する理由>を説明できるのではないかと思ったのです。これは別に、<健忘症=うつ病>の人が動物的に見えるからと短絡的に言っているのではありません。
きっかけは宮台さんの以下のような分析と解決策でした。
・価値観が一つだけの環境では尊厳の供給源が不足して、
社会で生きていく動機付けが弱くなっていく。
・解決策は学校以外の所属(例えばボーイ・スカウトなど)で活動することで
そこで尊厳を補給する。
一方、<若年性健忘症>を提案した築山節さんは以下のように言っています。
・極端にパターン的な生活をしていると<若年性健忘症>になる。
・改善策は<マルチな活動をすること>
宮台さんも築山さんも、社会をまともに生きていけない人を研究しています。そしてそこから分析できた原因も、その解決策も、アナロジーとしては同じと言えます。更に二人とも、IT社会の影響にも言及してします。ここまで奇妙な符合があると、両者は同じ現象を別の側面から見ているだけと思えてきます。つまり、<若年性健忘症=うつ病>とは、社会システム理論でいうところの<尊厳の欠乏状態>なのではないかという仮説です。もし互いに独立した根拠が別々に同じ結論にたどり着いたのなら、その理論は相当に強固な正当性を持っているはずです。
ただ、どうやってそんなことを立証すればいいのだろうか。誰かやってくれないかな。縦割り社会の日本では無理かな。
宮台さんの著作やこのブログを熟度されている人なら気付くかもしれませんが、<若年性健忘症=尊厳欠乏仮説>から導かれることは<少年犯罪者は若年性健忘症なのではないのか?>という疑問です。この二つを安易につなげることは、拙速であるし危険なことだと思います。しかし少なくとも<近いところにある>とは私は考えています。このことは、以前、あっくんさんが指摘された<うつ病と健忘症とADDの関連性>にもつながっていく問題ではないかと、実は私も考えています。
そのことについては後編で書きます。
■Amazon
■楽天ブックス
<学校化>とは、家や地域社会が学校的価値の物差しで一元化されることを意味する宮台用語です。何が問題かというと、学校的な物差しでしか評価されないために、一度その評価軸から離れてしまうと、それ以外に尊厳の回復が難しくなってしまういうことです。勉強しかできないエリートが、社会に出て挫折する理由を分析しているのです。また、宮台さんは<学校化>が進んだ原因として、明治維新後の近代天皇的価値観、戦後の高度経済成長的価値観が崩壊して以降に、日本国民が別の新しい大きな価値観を構築しえていないことを挙げています。つまり、よりすがるべき大木がないために、学校的価値観にすがっているのです。
一方<動物化>とは、本来<欲望>であるはずの渇望感を、<欲求>を満足させるかのように充足させることを意味します。東さんが広めた言葉です。日本では石油ショックや連合赤軍事件を経験した70年代に、近代国家では存在するとされていた<大きな物語(イデオロギーや科学万能神話)>が崩壊し、ポストモダン的時代が到来した。そうした時代背景と表裏一体なのが、個人の生き方です。近代国家では<大きな物語>と一体化することを人生の目的としていたのに、ポストモダンになった途端に目的を失い、いかに効率良く快楽を得られるかを追求するようになった。それが<動物化>の意味です。
このように宮台さんや東さんの博覧強記な文章を読んでいると、それはそれで納得させられます。しかしふと<なぜ新しい価値観を見つけられないのか?>とか<なぜ動物化するのか?>という疑問が浮かぶと、それに対する答えや言及は両人の本には書かれていないようです。二人とも、日本人の70年代以降の行動様式を分かりやすく説明しただけで、より本質的な理由は述べられていないような気がします。
そんなときに私は<若年性健忘症>という言葉を知りました。この<健忘症>が、<新しい価値観を構築できない理由>や<人々が動物化する理由>を説明できるのではないかと思ったのです。これは別に、<健忘症=うつ病>の人が動物的に見えるからと短絡的に言っているのではありません。
きっかけは宮台さんの以下のような分析と解決策でした。
・価値観が一つだけの環境では尊厳の供給源が不足して、
社会で生きていく動機付けが弱くなっていく。
・解決策は学校以外の所属(例えばボーイ・スカウトなど)で活動することで
そこで尊厳を補給する。
一方、<若年性健忘症>を提案した築山節さんは以下のように言っています。
・極端にパターン的な生活をしていると<若年性健忘症>になる。
・改善策は<マルチな活動をすること>
宮台さんも築山さんも、社会をまともに生きていけない人を研究しています。そしてそこから分析できた原因も、その解決策も、アナロジーとしては同じと言えます。更に二人とも、IT社会の影響にも言及してします。ここまで奇妙な符合があると、両者は同じ現象を別の側面から見ているだけと思えてきます。つまり、<若年性健忘症=うつ病>とは、社会システム理論でいうところの<尊厳の欠乏状態>なのではないかという仮説です。もし互いに独立した根拠が別々に同じ結論にたどり着いたのなら、その理論は相当に強固な正当性を持っているはずです。
ただ、どうやってそんなことを立証すればいいのだろうか。誰かやってくれないかな。縦割り社会の日本では無理かな。
宮台さんの著作やこのブログを熟度されている人なら気付くかもしれませんが、<若年性健忘症=尊厳欠乏仮説>から導かれることは<少年犯罪者は若年性健忘症なのではないのか?>という疑問です。この二つを安易につなげることは、拙速であるし危険なことだと思います。しかし少なくとも<近いところにある>とは私は考えています。このことは、以前、あっくんさんが指摘された<うつ病と健忘症とADDの関連性>にもつながっていく問題ではないかと、実は私も考えています。
そのことについては後編で書きます。
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■楽天ブックス
この記事へのコメント
なるほど大きい物語の消滅以降みんなボケてんだ!という感じで説明つくかもしれませんね
以前ケータイ小説の劇場版恋空で宮台先生はかなり衝撃を受けたみたいで「新しい感性を持った世代」みたいな事を言ってましたが
日本中が携帯で一種の若年性健忘症になってるとすると
怖いですね・・・
健忘症カテゴリを読んで単調な生活にならないようにと気をつけてましたが正月ですっかりボケてしまいましたw
以前ケータイ小説の劇場版恋空で宮台先生はかなり衝撃を受けたみたいで「新しい感性を持った世代」みたいな事を言ってましたが
日本中が携帯で一種の若年性健忘症になってるとすると
怖いですね・・・
健忘症カテゴリを読んで単調な生活にならないようにと気をつけてましたが正月ですっかりボケてしまいましたw
2009/01/04(Sun) 04:09 | URL | unagi #LmMdU2V.[ 編集]
>なるほど大きい物語の消滅以降みんなボケてんだ!という感じで説明つくかもしれませんね
そういう風にまとめられると何だか身も蓋もないですが、要はそういうことですw。
>正月ですっかりボケてしまいましたw
私は秋の終わりくらいから調子が悪いです。恐らく日照時間が減ったことと、寒くて外出時間が減ったこと、そしてPC時間が増えたことが原因だと思われます。
こういうブログを書いておきながら、<医者の不養生>で不甲斐ないです……。
今年もよろしくお願いします。
そういう風にまとめられると何だか身も蓋もないですが、要はそういうことですw。
>正月ですっかりボケてしまいましたw
私は秋の終わりくらいから調子が悪いです。恐らく日照時間が減ったことと、寒くて外出時間が減ったこと、そしてPC時間が増えたことが原因だと思われます。
こういうブログを書いておきながら、<医者の不養生>で不甲斐ないです……。
今年もよろしくお願いします。
2009/01/04(Sun) 09:30 | URL | デルタネコ #-[ 編集]
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